
ミーティングは、単に仕事について話し合う場ではありません。意思決定が行われ、チームに勢いが生まれる場所です。しかし、ミーティング中の会話を正確に記録する信頼できる仕組みがなければ、重要な気づきは簡単に失われてしまいます。
そんな課題を解決するのが、Fireflies AI のような AI 搭載のミーティングアシスタントです。ミーティングの文字起こしだけでなく、それ以上のことが可能です。
近年、Fireflies は「メモを取る時間を減らし、優先事項の実行に集中したい」と考える多くのプロフェッショナルから支持を集めています。
これは単なる文字起こしツールではありません。チームのミーティングを検索可能で共有可能なナレッジハブへと変えることを目指しており、AI 要約、要点整理、アクションアイテム、既存ワークフローにフィットする各種インテグレーションを備えています。
とはいえ、実際のパフォーマンスはどうなのでしょうか?AI による生産性向上の期待に応えてくれるのか、それとも競合他社と比べて見劣りする点があるのでしょうか?
この詳細な Fireflies AI レビューでは、このツールの優れている点、改善の余地がある点、そして現代のチームが求める AI ミーティングアシスタントとの比較を行います。Fireflies AI がすべての要件を満たさない場合には、注目すべき代替ツールもご紹介します。
さらに深く知りたい方は、AI 議事録ツールに関するガイド記事もぜひご覧ください。
Fireflies AI とは?
Fireflies AI の起源

Fireflies AI は一夜にして誕生したわけではありません。何年にもわたる試行錯誤と学び、そして執拗な改善の積み重ねによって生まれました。Krish Ramineni がわずか 20 歳のときに立ち上げたこのツールは、7 回の製品開発の失敗と無数の方向転換を経て、たった 1 つの強力なアイデアに集中した結果として形になったのです。それは「ミーティングを自動で記録・整理し、行動可能な情報へと変換できたらどうなるか?」という発想でした。
ペンシルベニア大学に在学中、Krish は共同創業者の Sam Udotong と出会いました。2人ともエンジニアの教育を受けており、内向的な性格で、何よりもプロダクト重視の考え方を持っていました。
成長ハックを追い求めたり、営業チームを雇ったりする代わりに、彼らは「とにかく役立つものを作れば、自然に広まるはずだ」と信じて開発に専念しました。
初期の実験では、Slack ボットやチーム会話から自動でタスクを生成する ToDo リストなどが含まれていました。しかし本格的な転機が訪れたのは、Krish が Microsoft で働いていたときのこと。役員たちがミーティングの文字起こしをアシスタントに任せていたのを見て、「他の人たちは...記憶に頼るしかない」と気づいたのです。
そのギャップこそが、Fireflies の出発点となりました。
現在の Fireflies AI

現在、Fireflies AI は信頼性の高い AI ミーティングアシスタントとして着実に成長しています。Zoom、Microsoft Teams、Google Meet などのプラットフォームに対応しており、会話を自動で文字起こしし、その精度は非常に高く、さらに AI による要約、発言者別のインサイト、アクションアイテムまで自動生成します。
しかも、Fireflies は単なる受動的な AI ノートツールではありません。継続的に進化を続けています。最近では、200 以上の AI「ミニアプリ」をリリースしており、文字起こしから職種別のインサイトを抽出できるようになっています。これにより、営業、サポート、マーケティングなどの各部門がそれぞれに合った価値を引き出せるようになっています。
Fireflies AI は、私たちの仕事やリアルタイムでのコミュニケーションの在り方を変えつつある急成長中のプラットフォームです。2025 年の Generative AI Expo ではゴールドスポンサーとして参加しており、同社が単なるプロダクトではなく、AI を活用した生産性向上のリーダーを目指していることが明確に示されています。
Fireflies AI:注目すべき機能の内訳
1. スマート録音:あなたのスタイルに合わせて

Fireflies は、柔軟なミーティング録音のアプローチを採用しています。Zoom ミーティングを主催する場合でも、短時間の打ち合わせに飛び込む場合でも、Microsoft Teams のハドルに参加する場合でも、Fireflies を自動参加・自動文字起こしに設定することができますし、手動で招待することも可能です。
ローカル録音や特別な設定は必要ありません。ミーティングをスケジュールするだけで、AI アシスタント「Fred」がバックグラウンドでノートを取ってくれます。
また、Chrome 拡張機能を使えばボットなしでの録音も可能です(現時点では Google Meet のみに対応)。
さらにその価値はバーチャル会議に限りません。Fireflies のモバイルアプリを使えば、対面のミーティング、外部との通話、ブレインストーミング、インタビューなども録音可能です。ハイブリッドチームや出先のプロフェッショナルにとっても実用的なツールです。
2. 進化し続ける文字起こし精度

ミーティングが始まると、Fireflies AI はリアルタイムでの文字起こしを提供します。発言と同時に内容が更新されるため、その場で会話を追うことも、過去の発言をすぐにさかのぼることも可能です。
複数の話者にも対応しており、誰が話しているかを明確にラベル表示できます。さらに、100 を超える言語を自動認識し、多言語での会話にも対応しています。
文字起こしの精度は Fireflies の最大の強みのひとつです。音声がクリアな環境では非常に高い精度を誇ります。アクセントが強かったり雑音がある場合は多少精度が落ちることもありますが、同等クラスのツールの中では群を抜いており、会議後に音声や動画ファイルをアップロードして文字起こしすることも可能です。
3. AI による要約:手間いらずのノート作成

ミーティング終了後、Fireflies は会議の文字起こしを処理し、「AI スーパーサマリー」を生成します。これは、会議のハイライト、重要なポイント、箇条書きのノート、キーワード、アクションアイテムなどを含むパッケージです。45 分の会議内容も 5 分以内で把握できます。
これらの要約はただのテキストの塊ではありません。構造化されており、会議の各セクションが論理的に整理されています(例:決定事項、必要なフォローアップなど)。完璧ではないにせよ、Fireflies の要約は複雑な会話を分かりやすい形にうまくまとめてくれます。
4. コラボレーション機能:チームワークをよりスムーズに

Fireflies は、あらゆるミーティングをチームで共有できるリソースに変える AI アシスタントです。チームメンバーは、文字起こしの特定箇所にコメントを残したり、リアクションしたり、重要な瞬間をフラグでマークすることができます。
誰かがミーティングに出られなかった場合でも、わざわざ会議の要約を依頼する必要はありません。文字起こしや要約の該当箇所にすぐジャンプでき、同期された音声を聞きながら確認することも可能です。
これは特に、文脈が失われやすい分散型チームにおいて、部門横断のコラボレーションを強化するのに役立ちます。ミーティングに参加していなかったメンバーでも、全員が同じ情報をもとに足並みをそろえることができます。
5. プロのように検索する

Fireflies では、ミーティングの要約を見直す代わりに、スマートな検索機能を使うことができます。たとえば「誰かが価格について話した瞬間」や「競合他社に言及した場面」を探したいとき、キーワード、日付、アクションアイテム、話者名、数値指標などで文字起こしをフィルタリングできます。
単なるキーワードマッチではありません。文脈も考慮されており、重要な会話の断片を驚くほど正確に抽出してくれます。週に何十件も会議があるチームにとって、この検索機能だけで何時間もの時間を節約できます。
6. インテグレーション:Fireflies をツール群に組み込む

Fireflies は、あなたのワークフローの中心になろうとはしません。すでに使っているツールと連携する設計になっています。ミーティングノートや文字起こしは、Salesforce、HubSpot、Slack、Trello、Asana、Notion、Dropbox などに自動送信できます。カレンダーとも同期し、手動操作なしでミーティングの録音も行えます。
このようなシームレスな連携により、Fireflies は単なる録音ツール以上の存在になります。企業のナレッジベースの一部として機能するようになります。
営業チームであれば、通話メモを CRM に送信して効率よく案件を管理できます。プロダクトマネージャーは重要な瞬間を Jira のボードにタグ付け可能です。カスタマーサクセスチームは、Slack チャンネルに直接インサイトを共有できます。これも Fireflies の共同作業機能のひとつです。
7. 会話インテリジェンスと分析機能

Fireflies の高度な機能のひとつが、「会話インテリジェンススイート」です。この AI ツールは、単に通話を記録するだけでなく、その内容を分析してくれます。話者ごとの発言時間、バランスの指標、感情分析、トピックの頻度などのメトリクスが提供されます。
これらの指標は特に、営業チームのコーチングにとって非常に価値があります。ピッチのタイミングを最適化したり、メッセージを洗練させたり、成果を出している行動パターンを特定するのに役立ちます。
しかも、これらの分析は単なる「見栄えの良いグラフ」ではありません。実際に使える情報です。たとえば、「誰が話しすぎているのか」「最も多く出た反論は何か」「メッセージがどう受け取られているか」といったことが分かります。
会話が成果に直結する組織にとって、ここがまさに Fireflies が「録音ツール」から「戦略的アセット」へと進化するポイントです。
営業コーチング機能と組み合わせることで、Fireflies は会話を中心に成果を生み出すチームにとって欠かせない戦略ツールとなります。
8. Fireflies AI アプリ

2025年4月、Fireflies は部門横断のワークフローを自動化し、さらなる生産性向上を実現する 200 以上の AI 搭載アプリの画期的なスイートを発表しました。CRM データの記録、フォローアップメールの自動生成、コンテンツカレンダーの作成、人材採用パフォーマンスの追跡など、多岐にわたる業務をカバーしています。営業チームや多忙なエグゼクティブはリードのスクリーニングをより迅速に行うことができ、採用担当者は AI 生成のスコアカードを用いて適合性を判断し、プロダクトチームは仕様書の自動下書きや UX の問題をフラグ付けできます。
さらに革新的なのは、これらのアプリが業界やユースケース別にインテリジェントに整理されている点です。営業や採用から、医療、教育、さらにはクリエイティブ分野まで網羅しています。
Fireflies AI ミーティングアシスタントを実際に使ってみた
私の体験談

私はこれまで、生産性向上ツールや AI ノート作成ツールを数多く試してきましたが、Fireflies を使い始めたときはあえて期待値を低めに設定していました。この Fireflies AI レビューは、実際の複数のミーティングで手を動かしながら検証した実体験に基づいています。
自動運転のようなセットアップ、でも少し荒削りな面も
初期設定は非常にスムーズでした。自分のカレンダーと Zoom アカウントを接続すると、Fireflies のボットが何の操作も必要なく、スケジュールされたミーティングに自動参加し始めました。このレベルの自動化は、会議数の多い環境で「とにかく動いてほしい」というニーズにぴったりです。
とはいえ、デフォルト設定には少し驚かされました。Fireflies は単に会議に参加するだけでなく、すぐにすべての参加者に要約を送信してしまいます。口コミ効果を狙った仕掛けとしては優秀ですが、社内会議や顧客対応時にはちょっとありがた迷惑です。
設定から無効にすることはできますが、こういった共有機能は「オプトイン(任意参加)」にすべきで、「オプトアウト(自動参加)」であるべきではないと思います。
AI 要約の精度:優れているが改善の余地あり
要約された箇条書きの内容は一貫して高品質でした。簡潔で構造的であり、精度はおおよそ 90~95%。アクションアイテムも明確に表示され、意思決定の抽出やフォローアップ項目の識別も、特別なプロンプトなしにうまく処理されていました。
ただし、発言者のラベル付けについては、まだ改善の余地があります。スピードの速い会話やクロストークが多い場合には、誰が何を言ったのかが曖昧になることもありました。
そのため、私は Fireflies の「カスタムボキャブラリー」機能を活用しました。この機能は設定メニューの中でやや見つけづらい位置にありますが、一度設定すれば製品名や自社固有の用語の認識精度が明らかに向上しました。
社内用語や専門的なフレーズを多用するチームであれば、カスタムボキャブラリーの調整によって要約の質が格段に向上します。
真価を発揮するのは「検索+インテグレーション」機能
Fireflies が真に力を発揮するのは、ミーティング後の活用シーンです。検索機能は非常に高速かつ的確で、話者別、キーワード別、トピックタグ別に重要なフレーズや内容を抽出できます。さらに Slack や Notion との統合により、ミーティングの内容が分断されることなくアクションへとつながります。 私自身、Fireflies を単なるメモとしてだけでなく、クライアント向けのサマリー作成、CRM への入力、ツール間でのインサイト共有に活用しており、業務の中心に組み込まれる存在となりました。
組み込みの感情分析機能も魅力的です。営業通話の雰囲気やトーンの変化をすばやく把握するのに役立ち、全録画を見直す手間が省けました。
いくつかの欠点
1 時間を超える長時間の会議では、処理に時間がかかり、文字起こしの生成に 10~15 分かかることもあります。致命的ではありませんが、次の会議にすぐ移りたいときには少し気になります。
また注目すべき点として、Fireflies の一部の高度な機能、たとえば AI によるフォローアップや詳細な分析機能は Business プランのみに含まれています。納得のいく価格構成ではありますが、チームの規模やミーティング頻度によっては検討が必要です。
実際のユーザーレビュー


出典: G2.com
Fireflies AI の料金プラン

Fireflies AI では、4 つの料金プランが用意されています。無料の「Free」プランに加え、有料の「Pro」「Business」「Enterprise」の 3 種類があり、それぞれ異なるユーザー層に対応しています。
Fireflies AI Free プランについて

Free プランは、AI 会議ツールの導入を始めたばかりの個人や小規模チームに最適です。文字起こしは無制限に利用できますが、AI 要約は制限されており、保存容量はユーザーごとに最大 800 分までとなっています。リアルタイムノート、ライブ文字起こし、ミーティング検索、AskFred 機能にアクセス可能です。
Zoom、Google Meet、Microsoft Teams など複数の Web 会議プラットフォームに対応し、モバイルアプリや Chrome 拡張機能からも利用できます。音声/動画ファイルをアップロードして文字起こしすることも可能です。
無料プランとしてはかなり充実した内容ですが、定期的に業務で使用するユーザーにとっては、利用制限や保存容量の上限にすぐ達してしまうとの声も多くあります。また、無料プランでもクレジットカード情報の登録が求められる点が、煩わしく感じられるかもしれません。
Fireflies AI Pro プランについて

Pro プラン(年間請求で $10/ユーザー/月)は、無制限の文字起こしと AI 要約が利用可能になり、保存容量もユーザーごとに 8,000 分に拡張されます。Free プランの制限がほぼ取り払われ、実際の業務でも十分に活用できるレベルになります。
主な追加機能には、文字起こしや要約のダウンロード、発言時間の分析、AI によるアクションアイテムとタスク管理のサポートがあります。統合機能も無制限に利用可能です。さらに、Fireflies の AI アプリや強化されたスマート検索フィルターへのアクセスも含まれます。
総じて、Pro プランはテクノロジー志向の個人や小規模チームにとって堅実な選択肢ですが、信頼性やユーザー管理に関する懸念点がネックになる場合もあります。
Fireflies AI Business プランについて

Business プランは、より高度な機能やチームでの共同作業が必要な成長中のチーム向けに設計されています。価格は年間請求で $19/ユーザー/月。Pro プランの全機能に加え、文字起こし、AI 要約、保存容量がすべて無制限になります。さらに、強力な分析ツール群が利用可能です。
ビデオ録画、会話インテリジェンス、チーム分析機能も追加され、営業コーチング、パフォーマンスレビュー、プロダクトフィードバックのループに最適です。管理者はユーザーグループの管理ができ、IT チームはより高度な統合や API コントロールにアクセスできます。
Fireflies AI Enterprise プランについて

Enterprise プラン($39/ユーザー/月)は、厳格なコンプライアンス要件や高度なセキュリティを必要とする大規模組織向けに設計されています。無制限の文字起こしやビデオ録画などに加え、データ保持のカスタマイズ、SSO、HIPAA 対応、プライベートストレージ、ルールエンジン、専任アカウントマネージャーが含まれます。
ただし、ユーザーレビューでは、強引なアップセル戦略や不透明な請求体系に対する不満の声も見受けられます。高い信頼性と透明性を求める組織の場合は、他の選択肢を検討する価値があるかもしれません。
Fireflies AI のメリットとデメリット
✅ メリット
1. カスタム語彙とリアルタイム文字起こしによる高精度なトランスクリプション
AI による箇条書き形式の要約は非常に正確で、カスタム語彙を使うことでさらに精度が向上します。ミーティングの振り返りやアクションアイテムの抽出が大幅に効率化されます。
リアルタイムでの文字起こし機能と組み合わせることで、会話をその場で確認できるのも大きな利点です。
2. 高度な会話インテリジェンス機能
感情分析、発言時間の内訳、トピック検出といった豊富なインサイトを提供します。営業コーチング、面接、カスタマーサクセスチームなどに特に有用です。
3. 強力な統合とワークフロー同期
Slack、Notion、各種 CRM、プロジェクト管理ツールと直接統合でき、ミーティング内容をチームの既存ワークフローへスムーズに取り込めます。
4. スマート検索とアーカイブ機能
キーワードや発言者に基づく検索は高速かつ正確です。トピックタグやフィルターにより、数時間分の通話内容の中から重要な瞬間を数秒で見つけられます。
5. 手頃な Pro プラン
月額 $10(年間請求)で、要約、統合機能、分析、アクションアイテムが無制限に利用可能。この価格帯の中では非常に充実した内容です。
🚫 デメリット
1. 話者ラベリングの精度に課題あり
複数人でテンポの速い会議では、発言者の認識ミスが発生することがあり、検索結果の精度や文脈理解に影響を与える場合があります。
2. 要約と文字起こしの遅延、および処理制限
長時間の会議では、要約や文字起こしの生成に 10~15 分ほどかかることがあります。使用量が多いと、AI 機能が一時的に制限されることもあります。
3. 過剰なデフォルト設定
Fireflies は初期設定でカレンダー内の全イベントに自動参加し、出席者全員に要約を送信します。拡散を狙った戦略としては有効ですが、プライベートな会議や顧客対応時には過干渉に感じられることも。設定でオフにできますが、本来は「オプトイン」であるべきです。
4. データプライバシーに関する懸念
セキュリティは強調されていますが、デフォルトの米国サーバーでのデータ保管は、GDPR 要件と矛盾する場合があります。感情分析も EU 法においてはプライバシーやバイアスの問題を引き起こす可能性があります。プライベートクラウドのオプションはあるものの、アカウント削除後にも bot が会議に参加したという報告もあり、データの制御と同意の透明性に疑問が残ります。
5. UI の学習コストが高め
機能は豊富ですが、直感的に操作できるインターフェースとは言えません。初心者や非エンジニアユーザーには取っつきにくく、ホバーで出る不要な要素やポップアップ、ページの読み込み遅延、AI 応答のラグ(最大 10 秒程度)がユーザー体験を損なう要因となっています。
Fireflies AI はどんな人に向いているか?
Fireflies AI のミーティングアシスタントは、月に 10 回以上のミーティングをこなすような、ミーティング頻度の高いプロフェッショナルやチームに最適です。手書きメモを減らし、手動でのドキュメント作成を排除し、会議後のインサイトをすぐ活用できるようにしたい場合に力を発揮します。
過去の会話を確認したり、フォローアップを割り当てたり、Slack や Notion、CRM などのツールと情報を同期させたりするワークフローに依存しているなら、Fireflies は高い投資対効果をもたらすでしょう。
自動参加機能と精度の高い AI 要約により、営業、カスタマーサクセス、コンサルティング、オペレーションチームに特に適しています。検索可能なトランスクリプトアーカイブ、トピックタグ付け、話者レベルのフィルターも、テンポの速い会議には非常に便利です。
とはいえ、Fireflies AI はライトユーザー向けには設計されていません。月に数回しか会議に参加しない場合や詳細な記録が不要な場合、その自動化機能は過剰に感じられるかもしれません。また、要約と統合機能に関しては非常に優れていますが、複数話者の精度やボットの動作にはまだ改善の余地があります。
それでも、会話を意思決定の中心に置くチームにとって、Fireflies は単なる文字起こしツール以上の価値を提供します。カスタム語彙機能や日常使用しているツールとの統合により、非常に強力な AI ミーティングアシスタントとなっています。
Fireflies AI は正しい方向に進化しているのか?
Fireflies AI は確かに急速に成長しています。新機能、新しい統合、そして毎四半期ごとの UI の刷新。しかし、その急速な進化の中で、AI ノートテイカーに本当に求められている価値を見失ってはいないでしょうか?
もともと Fireflies が注目されたのは、時間を節約する「自動かつ正確なミーティングノート」という中核的な約束によるものでした。そして今も、その点においては一定以上の成果を上げています。
リアルタイムの文字起こしや検索可能なアーカイブ機能は、月に何十回も会議を行うチームにとって非常に有用です。ただ最近では、製品のロードマップが少し広がりすぎているように見えます。AI 検索、会話分析、案件インテリジェンス、感情スコアリング、さらには AI チャットボットまで――Fireflies は「何でもできるがどれも中途半端」な存在になるリスクを抱えています。
機能の幅が広がる一方で、話者の識別精度の向上やアクションアイテム抽出の改善といった、基本的な要素がおろそかになっている印象があります。その結果、使いこなしが難しくなり、設定や操作に手間がかかる複雑なプロダクトになりつつあります。
野心を持つこと自体は悪いことではありません。ただ、シンプルに「文字起こしと要約を高精度で生成し、ツールと自然に連携させたい」と願うユーザーにとっては、今の方向性は“ブレ”と感じられるかもしれません。
競争を勝ち抜くには、Fireflies は一度立ち止まり、パワーユーザーの声に耳を傾け、「文字起こし精度」「話者識別」「ワークフローの柔軟性」といった基本を再重視する必要があるかもしれません。そうしないと、日常的に信頼される AI ノートテイカーから、ただの機能過多な生産性スイートに成り下がってしまうリスクがあります。
最終的な結論:Fireflies AI に投資するべきか?

Fireflies AI は、膨大な数の会議や対面ミーティングを扱うチームにとって魅力的な機能群を提供しています。自動会議参加、ライブ文字起こし、正確な要約、そして幅広いツールとの統合によって、大規模な発話コンテンツの記録と整理を現実的に実現できるツールです。
Zoom、Google Meet、Microsoft Teams のようなプラットフォームを日常的に使っているプロフェッショナルにとって、Fireflies は会議資料作成の手間を大幅に削減してくれます。
とはいえ、多少のクセもあります。デフォルト設定を調整しないままだと、動作が煩わしく感じられることがあります。特に、複数人でテンポの早い会話になると話者のラベリングが不正確になる場面もあり、正確性が重要な場合は文字起こし内容をチェックした方がよいでしょう。
価格設定についても考慮すべき点があります。無料プランは試用としては十分な機能を備えていますが、多くの高度な機能(会話インテリジェンス、無制限の文字起こし、ビデオ録画など)は有料プランでしか利用できません。そのため、想定より早く有料プランに移行するよう誘導される可能性があります。
では、Fireflies AI に投資する価値はあるのでしょうか?
多機能で半自動化された AI ミーティングアシスタントを求め、多少の不安定さを許容できる忙しいプロフェッショナルやチームにとって、Fireflies は有力な選択肢です。
しかし、もっとシンプルでプライバシー重視、かつアップセル圧力の少ない体験を望むなら、最近登場してきた新しい代替ツールを検討するのもよいかもしれません。
結局のところ、Fireflies AI には可能性がありますが、いまだに本当の強みを模索しているようにも感じられます。その隙間を狙って、より洗練され、ユーザーに優しい体験を提供する AI アシスタントが登場する余地は十分にあるのです。
補足:Fireflies の代替ツールもあります
この記事の締めくくりとして、ノートテイキングに対してよりシンプルでユーザー本位なアプローチを求める方に向けて、Fireflies の代替ツールについても触れておきましょう。カレンダーや受信箱をノイズで埋め尽くすようなツールではなく、本当に必要な情報だけを届けてくれる製品です。
そのひとつが Bluedot。比較的新しい AI ノートテイカーで、「毎回ボットが会議に参加する」ような仕組みは一切ありません。その代わり、Zoom、Google Meet、Microsoft Teams から直接ミーティングを録画します。ポップアップも、強制参加も、会議後のスパムメールもありません。そしてビデオ録画にも対応しています。

Bluedot は、精度とプライバシーを最優先に設計されています。テンポの速い会話でも要約が可能で、ビルトインのテンプレートやカスタムテンプレートを使って内容を整えることができます。
インターフェースはシンプルで、分析機能も実用的。Slack、Notion、HubSpot など実際にチームが使っているツールとの連携もスムーズです。派手な機能は少ないかもしれませんが、余計な邪魔をせず、自然に使えるツールです。
肥大化したダッシュボードやセールス色の強い AI ツールに疲れているチームにとって、Bluedot はまさに新鮮な空気のような存在。洗練されていて効率的、そしてユーザーの時間とデータを本当に尊重してくれるツールです。